美濃市長選~変容する政治課題と地域社会~

https://www.zf-web.com/news/2025/11/02/213900.html ぎふチャンより※画像は保護されています

美濃市長選、しのだ啓介氏が当選された(おめでとうございます)

投票結果は次の通りだ

1位 しのだ啓介氏 6617票

2位 渡辺あきのり氏 3013票

3位 Mさん(宮島氏) 155票

自民肝入りで出馬した渡部氏だったが、開けてみれば、2倍以上の圧倒差で敗北している

これは近年の地方の各地で見られる典型的な自民の衰退ぶり、負け方を踏襲する結果ではないか

新聞には「自民系敗北」「党勢回復ならず」など文字が躍った

投票率は62.34%だった これは、平成26年の66.09%より下回るが、当時の有権者数は18318人で、今回の有権者数15840人よりも多かった 当時を100%とした場合、今回の有権者は86%に減少している

投票率は割合なので母数の規模は関係ないとは言いきれない 人口減少が選挙の環境に影響を与えることは判っている

有権者数が減少する中、今回の選挙への市民の関心は高かったということだ

政治への不信感、未来への不安

ところで、自分は今回の美濃市長選、かなり複雑な気持ちで見守っていた

知人の議員から議会の様子も聞いていたし、前市長突然の辞職から、選挙直前に報じられた資料作成指示の問題、渡部氏に関しては福祉の現場においての経験を積まれたものの、初当選の市議わずか2年で市長選に出馬という思い切った行動である(しのだ氏の行政経験は30年以上ある)

なんと言うか、まあ、要するに「素直に応援しにくい」のだった

それで、自分としては、立場上渡部氏を応援するべきだったのだろうが、内心モヤモヤしたものがあり、悩んだ末、結局、傍観していた(同僚の何人かは為書きや挨拶に行ったようであるが、自分は出来なかった…)

そんな中、三人目の立候補者である、Mさんこと起業家の宮島さんが目に留まった

誠実そうな起業家の若者だった 市長選への疑義を訴えるために立候補したのだという

しのだ氏の選対や広報に名乗りを上げても良かったと思うが、前市長の突然の辞職があって、色々と準備する間もなくといったところだったと思う(そういう意味では、一種の露払いとして辞職の効果はあったと言える)

彼が配信するSNSのポストには選挙そのものへの不信感、不平等性、自分のまちの未来を憂う気持ちが綴られていた(彼のポストの成績は、theadsで32万、xで26万、Instagram合わせると一週間で60万PVを叩き出しており、相当な訴求力があった模様である)

まだそれも一部の市民の意見を象徴するに過ぎないかに見えたが、実に有権者のおよそ3分の2がしのだ氏を選んだという現実をあらためて直視すると、多くの市民が地方政治にありがちな自民的なノリ、ムード、集票システムに強い不満を示したのだと私には見える

地方政治に求められるもの

自民党は歴史的に利益誘導型の政治を行ってきたし、それがどこよりも得意だったと言える

とりわけ過酷な自然と向き合い、国からの交付金で成り立っている地方行政のハード事業において、自民の利益誘導型の政治と集票システムが果たしてきた役割は大きい

その全てが悪だったとはとても言いきれない 地方には必要なことだったと思われる

しかしそれも時代と共に変容して来た

自民党は今や少数与党だ 多くの国民、市民は、利益誘導型の政治に理解を持てなくなった…、というより、汚職や税金の無駄遣いの原因であり、むしろ嫌気がさしている

これに変わって制度改革や持続可能性の追及、地域主導といった、社会課題そのものに向き合い、問題を解決しようとする方向性が現在の政治には求められている

「誰が得をするか」より「いかに多くの人が納得できるか」 そういう政治が求められるようになった そして、この社会課題解決型の政治こそ、自民党が最も苦手としてきた領域だったではないかと思う

外交、経済、外国人対策を始め、高市政権は誕生から目覚ましいロケットスタートを切り、自民の支持率は回復傾向にある しかし、地方には依然として根強い問題が残り続けている

それはこの美濃市長選を見ても明白なことである なぜ負けたのか、なぜ市民が納得しなかったのか、我々は猛省しなければならない(ていうか何度やったら分かるんだろうと思うのだが)

旧態依然とした価値観と高齢化、社会課題ではなく柵に向き合うしかない地域組織、団体票に頼りきった体質…。

郡上も例外ではないのだが、こんなことをいつまでもしていたら、いい加減、自民党は本当に地方からダメになっていくだろう

我々は変わっていかねばらないと思う

そうしないと、本当に本当に本当に有権者から見放されてしまう

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