雪害の補正予算について

6月議会も閉会を迎えようとしています
会期中、今年2月にあった雪害への補正予算「園芸作物振興施設等災害対策事業」が承認されました
本件は関係筋において、早い段階から概要が伝わっていましたが、議員の私が補助金についての詳細を皆さまにお伝えするのは、議会での審議、採決を待たねばなりませんでした
遅くなりましたが、以下、お伝え致します
「発信力」を持たない当事者もいる…
ところで、被害状況ですが、5月上旬の資料によると(状況としては今後も変わります あくまで参考までに)
被害件数196件 ※ビニールハウス185件、農業用倉庫3棟、農業機械8台
ビニールハウス被害棟数185棟 ※石徹白地区73棟、全体の39.5%です
被災生産者31名 ※石徹白地区7名 22.6%
被害総額およそ130.970千円 ※石徹白地区の被害額は全体のおよそ68.8%です
※内訳の詳細も出ているのですが、長くなるので、ここでは石徹白地区にフォーカスして紹介します
石徹白の被害棟数は約40%以内であるのに被害額は約68%と非常に高いです
これは全壊した棟数は石徹白が圧倒的に多いためです
ですので、当区は他区に比べて「ダメージを大きく受けた」ということは言えると思います
ただし、被害が「石徹白地区だけだった」わけでは決してありません
また、多くの農家さんは「発信力」というものを持っていませんから、災害においては、声があげられない当事者がいることにも私たちは留意しなければなりません
補助対象の判断基準は…
さて、補助対象者ですが、「販売を目的とする農業者の組織する団体(構成員3戸以上)」であり、かつ「市の被害証明をうけていること」が条件となりました
この「農業者の組織する団体」ですが、何でも良いというわけではなく、事実上は「生産部会」のことを指しています
生産部会は実質的に市の振興作物を生産、販売しているので、ここで言うところの「農業者の組織する団体」とは、要するに「市の振興作物を作っている生産部会」のことです
補助金は、原則、共済金を控除した残りの分をカバーするものであり、個人ではなく「団体」につくという点がポイントです
農作物の被害に対する救済措置(災害や病害虫などによる被害)で支払われる補助金や支援金の多くは、原則として「個人」ではなく「団体・組合」や「経営体」を通じて行われる場合が一般的です
この判断基準により、被災生産者31名中、7名の農家さんが対象から外れてしまいました
財源が有限である以上、どこかで線引をしなければなりません
そうしないと補助対象者が広がってしまいます
広がると何が問題かというと色々ありますが、ひとつは「補助率が下がる」ということでしょう
なるべく多くの対象者に補助金を分配するのが一見公平で不平等がないようですが、それが本当に効果的なものかどうかはまた別問題です
このような場合「誰を助けるか」「何が公平なのか」という一種のトロリー問題に私たちは直面します
判断基準となった「振興作物」ベースですが、これをどう考えればいいでしょうか
「振興作物」とは、自治体が地域農業の振興や経済的発展を目的として、重点的に支援・推進する作物のことで、市の農政に関わる様々な計画や方針等で位置付けられています
ですから、単純に「これを作ってね!ヨロシクね!」「みんな一緒にやろうね!」というものに留まらないわけです
「振興作物」はそれだけ市にとっては大事なものなわけです
一方、財源ですが、事業主体額33,380千円に補助金額として49,920千円補正がかかり、全体で83,300千円を計上しています 補正された中身は県と市で折半しています
市は一般財源から出しているので、これは被災された農家さん(市民)のために市民から集めたお金を使っているということになります
本事業に関わらず、自治体の事業というのは、構造的には「市民の皆さんが市民のためにお金を使っている」ようなものです
これは長鉄問題でも同様に言えることで、市民社会の本質的な姿であり、とても大事な点です
「振興」事業は、「市」や「市民」のためですから、「市民のお金」が「市や市民の振興」のために利用される…という点においては、非情であったとしても、行政の性質上は矛盾しないと言えるでしょう
財源が限られている中で「振興作物」をまず守ろうとしたわけですね
それは、対象から外れた農家さんが「市民ではない」とか「農家ではない」という意味では決してありません
そもそも原則として市民個人や農家個人には付かないのですが、仮にそれをしてしまうと「市民一般」「農家さん一般」が全て対象者になってしまい、事業のフレームは根底から崩壊してしまいます
しかし…、やむを得ないとは言え、「情」や「体感」として「納得」するのは難しいですよね?
そうだと思います
この件に関しては、議員も黙っていたわけではなく、議場ではちゃんと質疑をして追求しています
予算特別委員会では対策事業に関して複数の質問がなされました
私が主に建付けの部分、対象者の基準については田中議員が質問されていた(それだけではありませんが)と思います
(他の議員さんも感心がないわけではなく、皆同じ思いだったでしょう 例えば仮に私がしなかったとしても、きっと誰かが質問していたでしょう)
議事録が出るのはまだ後ですが、実際にどのようなやり取りがあったかを市民の皆さんも確認することが出来ます 感心のある方はぜひご拝読下さい
お互い尊重し合いましょう
今回は私自身も、農家さんやJAさん、市担当者など少なくない方々にヒアリングをさせて頂きました
また現地視察やボランティアにも参加させて頂きました
そうした中でお叱りを受けることが度々ありました 「ものをお尋ねする」こと自体が極めて困難でした
ボランティアでは「売名行為ではないか」と言われたこともありました
きっと皆さん、大変、理不尽な思いをされていたのだと思いますし、極限的な状態にあったのでしょう
それはとてもよく判ります
「生産部会」ベースの基準も数ある最適解のうちのひとつに過ぎず、「正解」というのはないのだと思います
市の担当者も人間であり、このような業務において重圧を感じていたはずです
私たちは協力して別の領域、別のアンサー、別の可能性に到達したかもしれませんが、そのためには互いに尊重し合う、冷静に話し合える、そのような関係を継続的に普段から築き上げていくことが必要だと感じました
災害には「終わり」がなく、またやって来るでしょう
地域における災害と農業の課題点、問題点も色々と感じました
実は「これはかなり深刻だな…」と思ったこともあるので、それは後日また改めてブログで発表したいと思います
長いと読んでもらえないので、とりあえず、今回はここまです
ご意見は承りたいと思います
どうかよろしくお願いします