明日があるさ~「組織的過失」とは何か?

もう随分前になるが、映画「生きる」を観た
本作品は3.11東日本大震災において未曾有の被害者を出した大川小学校の遺族らのその後の活動を追ったドキュメンタリー映画だ

発災直後から津波が校庭に到達するまでに約50分、十分に逃げる時間はあったにも関わらず、子どもたちは「先生の言うことを聞いて」校庭に留まっていた 

ラジオや行政防災無線で津波情報は学校側にも伝わりスクールバスも待機していた
にも関わらず、全校児童の7割に相当する74人(うち4人は未だ行方不明)と10人の教職員が亡くなるという、震災で唯一多数の犠牲者を出してしまったのが大川小学校だ
実は学校のすぐ裏の山の高台に登るのには高齢者でも1分もかからないのだ 丘に登りきれば、およそ助かったのである

校庭で留まっている間、車で迎えに来た親御さんもお見えになったが、わざわざ点呼をし、家族の子どもしか乗せなかった
「なぜそんなことしてるんだ? 誰の車でもいい とにかく子どもを乗せられるだけ乗せてなぜ逃げられない?」と遺族が悲痛な叫び声をあげていた

例えばだ 下記の画像だがどこかで見かけたことはないだろうか
ニュースなどで少なくない人の記憶に残るシーンのはずである

3.11秘話「釜石の奇跡」の裏に共助のリレーがあった|おすすめ記事|くらし×防災メディア「防災ニッポン」読売新聞

これは後に「避難」や「防災教育」のお手本となった「釜石の奇跡」でよく知られる釜石東中の児童らの姿なのである
ここでは、点呼もそっちのけですぐに学校も児童も行動を起こしている
画像で逃げる児童らの誰一人として振り返っていないのが判るだろう 対してそれを眺めている周囲の大人たちが好対照だ
ここでは先生や児童らが住民よりも早い決断をして逃げているのである
その様子を見て住民たちも我に返ったと言う

その一方で大川小学校は津波が来ると判っていて50分も時間があったのにわずか1分の避難が出来なかった
どうだろう、この違いは??
どうして?? 本当に頭を抱えてしまう

本件は「教訓」「戒め」として私たちの社会のあり方に深い影を今もなお落としている

映画は観ていて胸が締め付けられるシーンの連続であり、遺族の親御さんたちの気持ちを思うとやり切れない
行政の対応も「誠意が感じられない」というレベルではもはやなく、どうしてこんな態度なのか、なぜ言葉を選ばないのか、全く理解に苦しむというか、この者たちは鬼かな?と疑わざるを得ない、話し合いの場は地獄絵図の様相を呈している
このような中、長い月日を裁判で闘うというのも遺族には尋常ではない苦難であったと思われる

しかし、彼らが起こした国家賠償請求の裁判は控訴審で後に「画期的」と言われる判決を勝ち取る
その責任が「現場の教師」ではなく、市や教育委員会、当時の校長らなど「組織」の行動原理そのものにあるという「組織的過失」が認められたのである

「組織的過失」…

裁判でよくある形式的論理(例えばハザードマップの範囲を前提とするとか)を打ち破り、普段からの組織的な活動、そこにある「行為」や「過失」の構造に着目した(例えば危機管理マニュアルを作成せず、避難訓練も怠っていたことが問題視された)点がまさに画期的だった
この判例はおそらく今後、強い影響力を持つだろう

この映画を観て「”わたしたちのまち”と同じだと思った」と知人の女性が私に言っていて、それも心に刺さった

彼女は津波に飲み込まれていった大川小学校の惨劇とその原因を自分のまちに重ね合わせたのだった

映画のラストでは「どこにでもある 企業や病院、あらゆる組織において言えることだ これは日本の社会が変わるきっかけになると思う」と語られていた

「人間関係の犠牲になったのかもしれない」といような事を遺族のある母親は呟いていた
そう これは決して大川小学校だけの問題ではないのである

確かに”まちづくり”においても同じだなと思った…

リーダーシップの不在、言いたいことが言えない空気、会議のやり方を知らない大人たち、自分では何もしないが人のやることには口を出すキーマン、みんな同じでないといけないという同調圧力、わしゃ聞いてない問題、面倒なことは丸投げで威張ってるだけの役員…
このままではダメだと判っていても何も出来ない いや、ダメだとすら理解出来ていない…

本当に「田舎あるある」で辛いだろうなと思う

組織的過失って、まあ、要するに言うなれば、どこの田舎にでもある、田舎あるあるなんですよね 多くの人は勘違いしていますが、スーパーがないから、不便だから若者がまちからいなくなるんじゃないんですよね

でもそんな中で「明日」を信じて頑張っている あがいている そんな彼らのイベントが今度あります
私も信じてみようと思う そのために自分に何が出来るか考えて行動したい

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